東大を休学してスタートアップでデザイナーとして働いてみた結果、デザイナーが何なのか全く分からなくなった話

東大を休学してスタートアップでデザイナーとして働いてみた結果、デザイナーが何なのか全く分からなくなった話
サトゥー

おひさしぶりです

そういえば休学してからの自分の活動についてしっかり書いたことがなかったので、東大を半年間休学して、スタートアップでデザイナーとして働いてみて感じたことなどを色々書いてみようと思います。

・東大を半年間休学してスタートアップでデザイナーやった ・スタートアップのデザイナー像を4つに分類してみたよ ・デザイナーが何なのか、もう分かりません

休学して半年間でやったこと(ざっくり)

そもそもデザインをはじめたのが2018年の4月で、デザインで人さまから金をいただこうと思ってメチャクチャ勉強しだしたのが6月ぐらいでした。

当時 UI が何なのかもわからない状態でデザイン組織がしっかりしていなかった頃のベンチャーに join し、そこからなんとかもがいて、文字通りほぼ 0 からスタートアップの開発組織づくりに参加してきました。(人には死ぬほど恵まれたおかげで今なんとか生きてます)

2018年の9月から2019年の3月までは、東京大学の理科一類というところを休学して、スタートアップでデザイナーとして本格的に働きつつ、フリーランスとしてもいくつかの案件にデザイナーとして関わらせていただきました。

具体的には、ロゴや名刺を作ったり、サービス開発を 1 からやったり、愚直に UX 設計をしたり、自走できるチームを作るための諸々の工夫を考えて実践してみたり、PM として立ち回ったり、VC との打ち合わせや投資家さんたちとお話をさせてもらったりなど、、、自分でも言語化しきれないくらい、色々なことを分からないなりにやってきた気がします。

スタートアップで活躍できるデザイナーを考えてみた

期間も成果も決して十分とは言えませんが、自分の貧弱な経験をもとに、スタートアップに求められるデザイナー像というのを考えてみます。

スタートアップで働くデザイナーというのはメチャクチャ多種多様だし、そもそもデザイナーという単語の意味が多種多様なのもあって、経営者サイドもデザイナーサイドもどういう働き方が求められているかが曖昧になっている気がしています。

ですので、以下の内容はそこそこ価値がある内容なのではないかと考えています(きれいにまとまってないので是非意見をいただきたいです)

前提: デザインを自慰行為と履き違えるな

そもそもの僕の今の考えの大前提として書いておきたいことが「デザイナーこそ売上を見据えて行動しようよ」というものです。

avatar
hogekosan

スタートアップに join しました、きれいなノベルティ作って note 書きました!社内に飾るポスター作って note 書きました!ロゴ作って熱い想いを500000000字くらいの note に書いてみました!!え、UX?そんな上流は担当じゃないかな〜

こういうデザイナーが(個人的に)しんどいです。

いやもっとやることあるんじゃないの…スタートアップなら尚更…アンタ金貰ってんだろ…と思ってしまいますが、結構こういう意識の人は少なくない印象があります。(そういうブランディングなら別にどうでもいいんですが)

売上という目的に対して、自分の行動が向いてないデザインを僕は勝手にオナニーと呼んでいます。そういうのはスタートアップじゃなくて個人的な活動としてやれば良いと思うのです。

デザインは(少なくとも今の僕の中では)売上につながってなんぼです。

会社に属する以上は、デザイナー(アーティスト気取り)である前にまずは社員であれと。

デザイナーはキレイなものを作ることに終止しないという認識、その先のユーザーに価値提供することがあくまで Primary にあるという認識

アーティスト気取ってるんじゃなくて、売上に貢献するという意識。予算や期間、達成すべき目標など、地に足をつけて考える

スタートアップで輝けるデザイナーを4つに分けてみた

以下、自分なりにスタートアップでデザイナーが輝くために必要なスキルセットを大きく4つに分類して考えてみました。

この4つは完全に分かれたものであるわけではありませんが、意外と属性が違ったりするので、その点ご了承ください。

1. 見ためをつくるのが上手な「(いわゆる)センスのある」デザイナー

(いわゆる)デザイン特化の人です。

散々最初に見た目ばっか気にする人をdisってしまいましたが、キレイなもの、イケイケな見た目には人が自然と集まってきますし、そういうデザイナーとしての能力は決して馬鹿にしてはいけません。

むしろしっかり売上にもブランディングにも貢献していて、一番わかりやすいデザイナーの輝き方なのではないかと思います。

以下に特徴を書いてみます。

  • ぱっと見で「おっ」と言わせるアウトプットを作れる
  • 細部まで妥協せずにこだわれる、120点まで満足しないで向上できる
  • 社内では「デザインはこの人に聞けば問題ない!」っていう立ち位置

2. 上流に関わって売上をダイレクトに生み出せるデザイナー

「売上をダイレクトに生み出す」が表現として微妙ですが、以下のような特徴のデザイナーという認識です。

  • 経営参画できる(越境?)
  • 会社の状況や市場を見た上で思考できる
  • サービスの細部にとらわれることなく、ビジネスの大局を常に見続けられる
  • 複雑な問題を分解し、解決することができる
  • 全体像の俯瞰ができている(ビジネスに対して)

まぁ要するに最近流行ってる「デザイン思考」ってやつ?あれってデザイナーが経営参画すれば解決するのでは?的なポジションです。

3. ユーザーに愚直に向き合えるデザイナー

これは「数字を通して」ユーザーに向き合うものと「直接」ユーザーに向き合うものの2つがあると思いますが、以下に特徴を書いてみます。

数字を通してユーザーと向き合う
  • 数字を読み、思考できる(Fact 以外をとりあえず疑える)
  • 基礎的な web マーケのリテラシーがある
  • どの数字がどのように顧客行動に関わってくるかがイメージできる

余談ですが、デザイナーの数字の向き合い方については、LIPS を運営している Appbrew さんのブログがめちゃくちゃ死ぬほど参考になります。実務のときにいつもお世話になっています。

直接ユーザーと向き合う
  • ユーザーインタビューの重要性を理解している
  • ユーザーから適切に事実を引っ張ってこれる
  • 得られた事実からユーザーインサイトを考えることができる

4. 自走できる開発組織を作れるデザイナー

組織というのは本当に難しいもので、うまくワークするチームを作るためのファシリテーションができないと(よっぽど優秀なチームでない限り)トラブルが起きてしまいます。

業務の関係上、俯瞰したり他人の思いを汲み取ったりすることが比較的得意なデザイナーがこういった取り組みまでできるのが、リソースの不足しがちなスタートアップにおいて僕はベストだと思っています。

  • エンジニアリングへの理解がある
  • 実装との連携において、認識のズレが生じないような工夫ができる
  • ある程度自分で実装できる
  • 経営側、実装側のコミュニケーションの橋渡しができる
  • 組織の俯瞰ができる
  • チームでの合意形成をしっかりとれる(もやもやを明確にして消せる)
  • 属人的なチームにしない努力ができる(急に誰かが蒸発しても死なないチームを)
  • メンバーの誰かがプロダクトに対して毒親化しないようにする一方で、全員が当事者意識を持てるような状況をつくる意識
  • メンバー全員のデザイン、ユーザーに対するリテラシーを高められる

その他、重要なマインド

ココに書ききれなかった(分類できないけど全部に当てはまる)大事なポイントも。

  • 基本的にだれも答えを教えてくれない。自分で情報をとって、自分から行動しないと何も始まらないし、じわじわとだめになっていく
  • 物怖じせずに言いたいことをしっかり言う、確認をとる。偉いのは最終的な結果を出す人、年齢とか社歴とか実績とか究極的には関係ない
  • 後々のスケールを考えたデザインができる(一貫性とクオリティを保つのは初期の設計がないと厳しい、経験談)
  • プロダクトのことを1日中、寝ても覚めても考え続けられる情熱をもつ(これをすり減らさないことも大事)

これからスタートアップでデザインする人へ

多少開発組織として出来上がっている会社に join するなら、まずは目の前のタスクをこなして自分の視野を広げていくだけですが、そうでない人は上の色々なデザイナーの役割を参考にしてみてください。

自慰行為してるヒマがあるか?

僕はデザイナーとしての自慰行為状態から抜け出すのに少し時間がかかりました(自分で気づくしかなかった)が、この記事を読んでいるデザイナーさん、少なくともスタートアップに関わるデザイナーさんには、一刻も早くオナニーの状態を抜け出して欲しいなと思っています。

(他人の心配をしているヒマなんて無いのですが)デザイナーってもっともっとやれること、やるべきことがたくさんあって、死ぬほど忙しいので。

お互い死ぬほどがんばりましょう。

自分の経験的には、まずは「1 ~ 4 のどれかを目指す」よりも「どれかを捨てる(チーム内の他のメンバーに託す)」という意識が現実的な気がしています。

例えばこの中で自分が捨てるとしたら1です。1を捨てるぶん、他の分野では人一倍努力して結果を出すべく日々精進しています。

まぁ、もちろん全部できるに越したことはないです。

サトゥー

ちなみに、UI/UX デザイナーが UI デザインをできることってもはや価値無くて、他の膨大なタスクをこなすためにいかに UI デザインに時間をかけずに済むかというところが価値の出しどころだと思っています

デザイナーって何やねん🤔🤔🤔

まぁ、それっぽいことを散々書いたのですが、正直自分でも全くわかっていません。

サトゥー

デザイナーってなんなんだ?デザインってなんなんだ?自分は形式はデザイナーだけど何者なのか…

的な悩みと日々向き合っている状態で、毎日夜しか眠れません。本当に悩んでいます。

この記事を御覧のデザイナーの先輩方、是非意見やアドバイスを聞かせてほしいです。

サトゥー

正直デザイナーが何なのか分からなすぎて、自分のことをデザイナーと名乗ることにものすごく抵抗を感じています

分からないなりに引き続きもがいています

まだ大学2年生で、正直デザイナーとして今後食っていくつもりもあまりなく、大学が忙しくなったら普通の大学生に戻りたいな〜〜なんて思っています。

ただ、今いる会社には夏までしっかりコミットする予定なので、結果を出し、自分の中でのデザインについてのもやもや、キャリアについてのもやもやにある程度答えが出せればと思います。

ちなみにこうらしい ↓

では、引き続きよろしくお願いいたします。

追記

表現が悪かったかもしれませんが、自分は1pxレベルでのこだわりを持つことなどに大しては全く悪いと思ってないですし、むしろそれは前提だと思っていました。


自分が言いたいのは、あくまで目的を「1pxにこだわること」とか「自分が納得いくものをつくること」みたいな視野の狭いところにとどめるのではなく、最終的に売り上げにどう貢献して、サービスの成長にどう貢献するのかに置きましょうよという話です。そこんとこヨロシクです。

この記事を書いた人

サトゥー

東大学際情報学府M1。情報科学と教養の海に溺れています。面白いことをやるのがすきです。